1998年11号 | ||||
計測値を音声で報告する
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(株)エム・システム技研 開発部 | ||||
は じ め に エム・システム技研は、すでにてれまる(形式:TLO)を発売して、ユーザー各位のご好評をいただいております。この製品は遠隔地の無人現場で発生した接点情報を8点まで、公衆回線を経由して漢字ポケベルおよび電話音声によって管理者に知らせる機能を持っています。漢字ポケベルは、漢字が持つ高密度の情報と、受信したメッセージを発生時刻をつけてポケベル内に80件まで記録できる点が評価されています。また、電話音声による情報の伝達は、人間の直感に直接訴え、かつ簡便な方式である点が評価されています。とくに音声については、最新のテキスト音声合成技術を活用しております。ユーザーがパソコンの日本語入力機能を使い、てれまるに読上げさせる語句を漢字かな混じりの文字列としてあらかじめてれまるに設定しておけば、通報の条件が発生したとき、てれまるは指定されている電話番号にダイヤルして、設定されている文字列を読上げる点に特徴があります。 今回、このてれまるに加えて、てれとーく(形式:TLA)を完成して発表いたしました。てれとーくはてれまるが接点情報を扱うのに対して、アナログ情報を音声で読上げる点に特徴があります。てれとーくが読上げる測定値はアナログ量、すなわち連続量です。読上げるときは、このアナログ値を実量表現の語句に直して読上げます。 1.てれとーくの構造 てれとーくはプラグイン型の構造をしています。また、その外形寸法は、てれまると同様、エム・システム技研の代表的なプラグインユニットであるM・UNITのわずか1.5倍の横幅で実現しています(W72×H80×D139mm)。 アナログ入力信号と電源は端子台に接続されます。公衆回線に接続するためのモジュラジャックおよびパソコンからてれとーくにデータを設定するRS-232-C通信のモジュラジャックが前面パネルに取付けられています。図1をご参照ください。 2.てれとーくの機能 てれとーくは次に列挙する機能を持っています。 ●計測値の音声報告機能 ●計測値の上下限警報監視機能 ●音声通報機能 ●ポケベル(漢字ポケベル)通報機能 ●電話環境設定機能 これらの機能は、OSがWindows95またはWindows NT4.0のパソコン上で動作する“TLAビルダー”によって、その詳細をユーザー自身が設定できます。 (1)計測値の音声報告機能 電話からの問合せに対応して、計測された数値(最大4点までのアナログ入力値)を音声で読上げます。たとえば次のとおりです。 “19時37分 着水井水位はx.xxメートルです。” 下線部分が変数部分です。このアナログ入力の0%が水位0メートル、100%が水位4.00メートルのとき、入力値が30%の場合は“19時37分 着水井水位は1.20メートルです。”と読上げ、入力値が78%であれば“19時37分 着水井水位は3.12メートルです。”と読上げます。 また、計測された値を数値だけでなく、数値に対応した文字列に変換して音声報告することができます。 たとえば“南大東島、南西の風、風力5、気圧1013ヘクトパスカルです。”というように“南西の風”を計測値から文字列に変換し、音声にて報告することができます。 図2、は計測値を文字列に変換するTLAビルダーの比較リスト画面です。 (2)計測値の上下限警報監視機能 アナログ入力4点に対して、それぞれ上限警報設定値、下限警報設定値を設定することができます。 また、計測値が上限警報設定値を超えた場合、または下限警報設定値を下回った場合に、それぞれ上限異常、下限異常として警報を発生し、あらかじめ設定されている通報先に異常を通報することができます。 通報先としては、電話(携帯電話、PHSを含む)、ポケベル、漢字ポケベルを指定できます。図3は、アナログ入力のスケール上限、スケール下限ならびに上限警報設定値、下限警報設定値をてれとーくに設定するためのTLAビルダーの画面です。 また、同画面の下半分は異常が発生した場合の音声通報文と通報の方法を設定する画面です。 (3)音声通報機能 計測値が上限異常または下限異常になった場合、音声による通報を行います。通報先は最大4箇所まで設定できます。異常が発生した場合に4箇所すべてに通報することもできますし、4箇所のうち1箇所が受け取れば、ほかには通報しないという設定もできます。ビルダーの画面については図3を参照してください。 (4)ポケベル・漢字ポケベル通報機能 計測値が上限異常または下限異常になった場合、音声通報とは別にポケベル、漢字ポケベルに文字列として通報することもできます。ポケベルの場合には英数字が送出されます。漢字ポケベルの場合には漢字を含む通報文が送出されます。通報文は、TLAビルダーを使って設定しておきます。ポケベル通報の場合も、音声通報と同様に最大4箇所に通報することができます。 (5)電話環境設定機能 異常が発生した場合の通報について、通報先にダイヤルする回数、リダイヤル回数、リダイヤル待ち時間、通報時の通話最大時間などの設定を行うことができます。 また、電話によって音声通報する場合には、男女の声の別、声の高さ、読上げる速さ、アクセントを好みのものに設定することができます。これらの環境設定はTLAビルダーを使って行います。 お わ り に エム・システム技研では、ここにご説明いたしましたように遠隔地の無人現場に設置された信号監視装置が異常を検知したとき、公衆回線を使用して管理者を呼び出し、緊急時の対応を指示したり、常時監視しているデータを現場で記憶しておき、必要なときに電話を掛け、記憶データを収集できる機能を持った装置を「スーパーテレメータシリーズ」としてお客様にご提供しておりますが、このシリーズの1機種である新製品のてれとーく(TLA)は、アナログ入力値を監視し、必要に応じ音声にて報告する機能を持っていますからてれとーくをご利用になれば、厄介な計測器操作を行ってデータを読んだり、スケールの変換を行う必要がなくなります。 また、TLAビルダーを使ってパソコンの画面からパラメータを設定しておけば、いつでも電話をかけて計測値を音声で聞くことができます。 エム・システム技研では公衆回線を利用する遠隔測定・監視機器を種々開発しています。データ通信に公衆回線を利用するエム・システム技研のスーパーテレメータシリーズにご期待ください。 ■ *てれまるはエム・システム技研の登録商標、てれとーくは商標登録出願中です。 |
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