1999年3月号 | |||||
お客様訪問記日本最大規模の浄水場の薬品注入装置に
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エム・システム技研 大阪営業部 | |||||
大阪府枚方市には、浄水場としては日本最大規模(世界でも有数)の「村野浄水場」があります。同浄水場には日量179.7万m3の供給能力があり、大阪府下の市町村に配水されています。大阪府の水道の大動脈的役割を果たしているこの「村野浄水場」の薬注装置に、エム・システム技研の全電子式アクチュエータサーボトップが使用されています。 今回、村野浄水場の管理に携わっておられる尾谷課長、薬品注入装置を設計された磯村豊水機工(株)の塚田課長、制御弁メーカー東工・バレックス(株)の竹田支店長の皆様にお話を伺いました。 [エム・システム技研、以下エムと略称]まず最初に、村野浄水場の特徴をお聞かせください。 [尾谷]村野浄水場は、急増する水需要に対処するため、1960年(昭和35年)に建設に着手しました。当初は淀川の水を取り入れ、1963年に給水を開始しました。その後建設を重ね、1981年には世界的にも珍しい立体式の階層系浄水施設を完成させました。村野浄水場の水源である淀川には、都市化した周辺から、生活排水や産業排水が流れ込んでいるため、その水質は水道水源として好ましいものではありません。とくに、琵琶湖で発生するプランクトンによるかび臭さや、従来の浄水過程で発生するトリハロメタンが健康に与える影響も問題になっていました。このため、従来の処理にオゾン・粒状活性炭処理を加えて、かび臭さをほぼ完全に除去し、トリハロメタンや有機物質・農薬などの微量化学物質を大幅に低減できる高度浄水処理方式を導入しました。1997年の夏から村野、三島、庭窪の各浄水場では高度処理水の供給を開始しています。 大阪府営水道の供給能力は村野、三島、庭窪の各浄水場全体で日量233万m3を有しており、府内の41市町村に対する水源としての役割を果たしています。 [エム]私も現在、村野浄水場からの配水を受ける堺市に住んでいますが、最近水道水がうまくなったように感じます。 大規模な浄水場における薬品注入装置はとくに重要な役割を担っていますが、この設備では次亜塩素酸ソーダなどを注入するため、耐食性に優れた制御弁(東工・バレックス(株)製)が使用され、 この制御弁の駆動部にエム・システム技研の全電子式アクチュエータサーボトップ(図1)をご使用いただいていますが、ご採用のきっかけはどのようなことだったのでしょうか。 [塚田]浄水場の自動弁としては、従来電油操作機、空気駆動機が使われていました。薬注装置に使用される制御弁の設置場所は一般にスペースが狭いため、できるだけコンパクトで、かつ制御性に優れ、メンテナンスの容易な製品が良いわけです。12年前に制御弁メーカーの推奨もあって、「全電子式制御弁」を導入しました。従来の電油式に比べ、コンパクトかつ高性能で制御性も良く、システム構成が楽になりました。また、電油式のような油汚れがなく、かつ定期的に油を交換する必要もなく、メンテナンスにほとんど手間が掛かりませんから、今後「電子式制御弁」の導入は増えていくのではないでしょうか。 [エム]浄水場の薬液注入用制御弁のメーカーとして定評がある東工・バレックスさんは、エム・システム技研のサーボトップを駆動部として長年ご採用いただいていますが、評価はいかがでしょうか。 [竹田]エム・システム技研の全電子式アクチュエータサーボトップは、発売当初(昭和60年)から採用しています。 浄水場、下水処理場などに使用されている耐酸弁は、開発以来40年の実績があり、薬注設備に不可欠な調節弁として高い評価をいただいています。制御弁の駆動機としては、従来空気式、電油式が使われていますが、性能(大きさ、分解能、機能など)の面でまだ問題があります。全電子式アクチュエータサーボトップは、このような問題点を解消した高性能のアクチュエータです。東工・バレックスの電子式制御弁(商品名:TESCA)は、発売以来国内の上水道、下水道、工場排水処理の薬注設備用として数千台が出荷されています。 [エム]お忙しいところを、時間を割いて詳しいお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。 ■ (敬称は省略させていただきました) *サーボトップは、エム・システム技研の登録商標です。 |
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