1999年4月号

新形電力用変換器
LT・UNITシリーズ

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に

 近年、日本国内では不況の嵐が吹き荒れ、変換器業界においても非常に厳しいコスト競争が行われています。
 今回ご紹介する電力用変換器「LT・UNITシリーズ」は、このような厳しい状況下でもご採用いただけるように、変換器としての機能・性能は十分確保しながら、とくに経済性に注意を払って開発した製品です。
 構造については、従来からご愛用いただいている電力用変換器「L・UNITシリーズ」「14・UNITシリーズ」と同じ系列に属すボックス形構造の変換器です。
 交流電流トランスデューサ(形式:LTCE)の外観を図1に示します。

1.LT・UNITシリーズの特長
●実効値演算
●入力部の強化
●補助電源の共通化
●各種規格対応

2.実効値演算
 エム・システム技研では、交流信号の各種特性値を測定するために、従来から平均値演算方式、近似実効値演算方式、(真の)実効値演算方式の3種類の製品を製造・販売してきました。しかし、周知のとおり、半導体負荷の急増に伴い電源の波形歪が著しくなってきているため、将来性を考慮するとやはり実効値演算方式を重視すべきであると考えます。そこで、「LT・UNITシリーズ」の交流電流トランスデューサおよび交流電圧トランスデューサには、実効値演算方式を採用しました。
 このときの問題点は、実効値演算方式は他の演算方式に比べてコスト高になることでした。これに対しては、部品1つ1つの見直し、周辺回路の見直しを行うことにより、従来の実効値演算の精度を確保しつつコストダウンを実現しました。
 交流電流トランスデューサのブロック図を図2に示します。

3.入力部の強化
 交流入力電圧の種類は、従来100V系と200V系でしたが、今回新たに400V系にも対応させました。電圧レベルとしては、最大550Vまでを変換器に直接接続できる構造(沿面距離・空間距離)を採用しています。
 交流電流については、モータの起動電流などに見られる過大入力に対してだけでなく、電源回路の短絡電流にも十分耐える設計を採用しました。つまり、JIS C 1111(AC-DCトランスデューサ)で規定されている過電流強度(定格電流の10倍 3秒)は、モータの起動電流等の過電流に対しての規格ですが、今回の「LT・UNITシリーズ」では、計器用変成器としてのCTの過電流強度に匹敵する、定格電流の40倍 1秒を確保しました。さらに、過電流をどの程度の時間まで印加できるかを示す図を仕様書に記入しています(図3参照)。電源回路故障時の対策を立てる際、ご参考になるものと考えています。
 また、海外のCTの規格に合致させるため、従来からある1A、5A入力に2A入力を追加しています。

4.補助電源の共通化
 補助電源については、従来AC100V系で4種類(100V、110V、115V、120V)、AC200V系で3種類(200V、220V、240V)を必要としていました。また、スイッチング電源を採用すれば1種類で対応可能ですが、コスト高になることが問題でした。
 今回、電源周辺の回路を見直し、100V系(AC100~120V)と200V系(AC200~240V)の2種類を従来のトランス方式で実現することによって、コストダウンを図りました。

5.各種規格対応
 電力用変換器では、変換器の性能および機能について種々の規格が定められています。
 国際規格としては、1980年にIEC 688-1(一般用AC-DCトランスデューサ)が制定され、また、日本ではIEC 688-1の制定と同じ年に、(社)日本電気計測器工業会規格JEMIS 019(AC-DCトランスデューサ)が制定されました。その後、コンピュータによる計測システムの普及に伴って、変換器の性能・構造を標準化する必要が高まったため、上記の2規格をベースとしてJIS C 1111-1989が制定されました。
 なお、上記のIEC 688-1は、その後内容が充実され、1992年にIEC 688として生まれ変わりました。これらの規格の対象は交流電圧、電流、(有効)電力、無効電力、位相角、力率、周波数などで、計測精度(許容差)および設置環境などによる影響が規定されています。
 今回の電力用変換器「LT・UNITシリーズ」は、これらの規格を満足し、さらにヨーロッパで要求されているCEマーキングにも対応しています。したがって、日本国内のみならず海外へ輸出するシステムにも幅広くご使用いただけます。

お わ り に
 以上ご紹介したように、新形電力用変換器「LT・UNITシリーズ」は、お客様のニーズにマッチさせるため、コストダウンを主眼としながらも入力の強化、規格準拠など新たな特長を備えた製品です。
 現在のところ、交流電流トランスデューサ(形式:LTCE)と交流電圧トランスデューサ(形式:LTPE)の2種類が完成しており、引続き、電力、無効電力などの開発を進めています。「LT・UNITシリーズ」の既開発製品、開発予定製品を含む一覧を表1に示します。
 省エネ法注)対策としても、新形電力用変換器「LT・UNITシリーズ」のご採用をよろしくご検討ください。           ■

注)地球温暖化防止のため、1999年4月1日に改正省エネルギー法(エネルギー使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律)が施行されます。
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