1999年7月号

テレメータ変換器(形式:TMS)

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に

 筆者が生まれた年でもある1973年までは、一般公衆回線には電話局から支給された電話機しか接続を許されませんでした。その後“通信の自由化”が始まり、1984年には財団法人電気通信端末機器審査協会(JATE)が設立され、JATEの認定を受けた通信機器であれば、複雑な手続きを必要とせずにNTTの回線に接続することができるようになり、今や利用者数4000万人ともいわれる携帯電話もこの恩恵に浴しています。
 エム・システム技研では、通信ネットワークの自由化に伴い、電話回線を利用して遠隔地の監視や制御を行うことを目的とするテレメータ、テレカプラシリーズを開発し、多くの皆様にご利用いただいて参りました。
 今回ご紹介するテレメータ変換器(形式:TMS)は、NTTの専用回線を利用して、少点数の信号を遠隔地との間で送受信する小容量テレメータ変換器です。

1.主な機能と特徴

●TMSの概要
 TMSは、専用回線 帯域品目 3.4kHzを使用し、300bpsの通信速度で1:1の通信を行います。
 入出力の種類についてみると、TMSには7種の機器があります。
 図2にその形式を示します。
 また、使用時のその組合せは次のとおりです。
 〈子 局〉   〈親 局〉
 TMS-2E1、2 ⇔ TMS-2E1、2
 TMS-2R1 ⇔ TMS-2R1
 TMS-2S1、2 ⇔ TMS-2S3、4
●操作が簡単
 TMSはプラグイン形構造をとっており、モデム、入出力装置を内蔵しています。親局、子局をそれぞれ専用回線につなぎ、接点またはアナログ信号をTMSの端子台から入力すれば、相手局のTMSからの接点またはアナログ信号が得られます。端子接続図を図3に示します。また、システム構成例を図4に示します。
 TMS-2S1~4は、親局・子局が固定していますが、2E1、2や2R1は前面パネル部のキャリア切り替えスイッチによって片方を(M)親局、もう一方を(S)子局に設定します。設定箇所がほとんどなく、取扱いは極めて簡単です。 また2S3、4の電流出力(DC4~20mA)の場合には、最大許容負荷抵抗が600Ωです。
●小形・軽量
 外形寸法はW72×H80×D144mmで、手のひらに載るコンパクトなサイズであり、設置スペースが少なくてすみます。また、重量は約0.4kgと軽量です。
●状態をLEDで表示
 前面パネルの通信接続部には、コネクタ端子台とモジュラジャックを用意しており、どちらでも専用回線に接続できるようになっています。
 回線の切断などの異常が生じた場合には、RUN接点機能(自己診断機能)によりRUN接点が“開く”ことで通信異常を知らせ、RUN接点表示ランプが消灯することで異常を確認することができます。
 通信部には、通信速度300bps、全二重通信用のモデムが内蔵されており、前面パネル部にある送信データLED、受信データLED、キャリア(データの搬送波)検出LEDによって動作状態を確認することができます。
●通信異常時には…
 先に説明したように、回線切断などの通信異常が発生した場合、RUN接点が“開く”ことによって通信異常を知らせます。
 通信異常が発生してから約10秒後に、RUN表示ランプが消灯します。また、データは回線切断前の状態を保持します。
 たとえば、出力端子からDC20mAを出力しているときに専用回線が切断された場合は、回線が復帰するか、電源を“OFF”にするまで切断前の状態を保持し続けます。このため、お客様のシステムを破損することなく安全にご使用いたただけます。

2.開発背景と今後の展開

 エム・システム技研のテレメータ変換器には、TMS以外に専用回線 符号品目 50bpsのTMA、TMR/ TMTがあります。いずれもアナログまたは接点信号1~2点を送受信する機器です。NTTの専用回線の種類には帯域品目、符号品目、高速符号などがあり、符号品目、高速符号は通信速度によってさらに細かく分類されています。近年NTTでは、老朽化した電話線を大容量データが伝送可能な光ファイバケーブルに移行しつつあります。そのため符号品目50bpsなどデータ伝送速度が遅いものは、減少していく傾向にあり、回線の使用料金も値上げにより帯域品目と変わらない料金になってきています。
 エム・システム技研ではこのような状況変化の中で、帯域品目を使用するTMA、TMR/TMTの後継機種の開発に取組み、今回テレメータ変換器“TMS”を開発しました。
 一昔前までは、百数十万円もした変復調装置(モデム)が現在では数万円程度で購入できる時代になりました。これはLSI技術の発展に伴う通信機器の低価格化と小形化によるものであり、これらの条件を積極的に利用することによって、エム・システム技研では、今後も、さらに新製品の開発に努めていきたいと考えています。

お わ り に

 今回、ご紹介したTMSは、モデム、入出力装置一体型のコンパクトなM・UNITサイズの製品であり、設置スペースが少なくてすみ、少点数の信号伝送に最適です。エム・システム技研の製品群には、このほかに一般公衆回線を利用した遠隔測定・監視機器“スーパーテレメータシリーズ”があります。 併せてご検討いただき、用途に適したテレメータ製品をご採用、ご活用ください。         ■

*テレカプラはエム・システム技研の登録商標です。
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