エムエスツデー 2011年1月号

Products Review
指示・警報計 SD10、手動操作器 SM10
シングルループコントローラ SCシリーズとSD10、SM10
エム・システム技研では、昨年「シングルループコントローラSC100/200シリーズ」を新製品としてリリースしました。「SC100/200シリーズ」の開発コンセプトは、「現代のボードオペレーションシステム」(ページ下参照)を担う製品としての位置づけでした。ところでプロセス計装においては、調節ループ以外にも多くの指示ポイントや手動操作ポイントがあり、現代のボードオペレーションシステムであっても、調節計以外にこれらに対応するボード計器が必要になる場合があります。そこで、「SC100/200」と同様のコンセプトに基づいて新たに開発した製品が「指示・警報計 SD10」、および「手動操作器 SM10」です。
「SD10」、および「SM10」は、いずれも「シングルループコントローラSC100/200シリーズ」と取付寸法、およびその他筐体の外形寸法が統一されています。また計器前面も「SCシリーズ」と同一の意匠でデザインされているため、「SCシリーズ」と混在して密着取付けした場合でも、違和感なく調和します。
新設工事、ならびにリプレース工事をご計画の際は「SCシリーズ」と併せて「SD10、SM10」の採用をぜひご検討ください。
指示・警報計 形 式 :SD10 |
基本価格 : 直流出力なし 180,000円 直流1出力形 190,000円 直流2出力形 200,000円 直流3出力形 210,000円 加算価格 : バー表示色 1点につき +2,000円 カラー(赤・橙・緑)表示1点につき +3,000円 |
手動操作器 形 式 :SM10 |
基本価格 :180,000円 加算価格 :バー表示色 青色1点につき +2,000円 |
↓ 工具を必要とせず、ワンタッチで目盛板を取り替えることができます。 |
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指示・警報計 SD10
■ アナログ3入力をバーグラフで表示し、入力ごとに警報接点信号4点を出力します。
「指示・警報計 SD10」は、3点のアナログ入力(CH1~CH3)を独立したバーグラフで表示するとともに、各入力に対して4つのしきい値(上上限/上限/下限/下下限)で警報設定ができる計器です。各警報状態は、計器前面でランプ表示されるとともに警報信号として出力されます。また、アナログ入力の種類については、統一信号以外に熱電対や測温抵抗体などの直接入力も可能です。
手動操作器 SM10
■ バックアップ機能をもった手動操作器です。
「手動操作器 SM10」は、調節計のバックアップ計器としての機能を併せもつ、手動操作器です。1点のアナログ(MV)出力(4~20mA)をもち、その値をカスケード(CAS)入力(たとえば外部の調節計のMV出力)にトラッキングさせたり、あるいは任意の値に手動操作ができます。また、その他に参照用として1点のアナログ(PV)入力のバーグラフ指示計を併せもちます。
ボードオペレーションシステム
パネル計装システムは、別名「ボードオペレーションシステム」ともよばれ、ボード(=計装盤、パネル)に多くの計器を取付けて、オペレータがボードの前面から計器の指示を監視したり、操作しながらプラントの操業が行えるように設計された計装方式です(このために、オペレータは「ボードマン」と呼ばれることもありました)。このような計装方式は、1960~1970年代前半までに全盛期を迎えました。
ボードに取付けられる主な計器(=ボード計器)としては、調節計(PID調節計)をはじめ、指示計、指示・警報計、手動操作器、手動設定器、比率設定器、記録計、記録調節計など多くの種類があり、これらは国際規格で取付寸法(パネルカット寸法)が定められていて※1、ボードに整然と並べて取付けられるように設計されていました。
その後、時代を経て計装システムの主流はボードオペレーションシステムからDCSやPLC/PC計装へと世代交代してゆきました。しかし、信頼性が高く、また明快で簡便なオペレーションが可能なボードオペレーションシステムは、現在でも一部のプラントや業種における小規模計装システムとして根強い支持を得ています。一方、市場においては、PID調節計に代表されるボード計器の将来にわたる供給体制が懸念されています。
※1.IEC61354(DIN43700)