エムエスツデー 2005年8月号

集中監視対応テレメータ
D3シリーズ
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研では、信号点数が数点の小規模なシステムからアナログ信号や接点信号が数百点を超す大規模なシステムまで、様々なニーズにお応えできるよう多種類のテレメータシリーズを開発し、販売して参りました。その間、多くのご意見、ご要望をいただきました。
今回ご紹介する「D3シリーズ」(図1)は、ご要望の中で多かった配線、保守および増設の容易性、ならびにスペース効率に重点を置いて開発、設計しました。既存の「イージーテレメータ D5シリーズ」の利点をそのまま引き継ぐとともに、入出力の自由な組合せを少点数から多点数まで可能にしています。
1.基本構成
D5シリーズと同様に、ベース、電源カード、通信(テレメータ)カード、上位通信カードおよび入出力カードから構成されています(表1)。
供給電源回路を備えた通信カードも用意していますから、小規模なシステムが容易に実現できます。
表1 D3シリーズの構成製品の名称と形式
製 品 名 称 |
形 式 |
|
ベース | ベース | |
アドレス可変形ベース | ||
電源カード | 電源カード(出力電流:750mA) | |
電源カード(出力電流:1.5A) | ||
通信カード | 1200bps通信カード | |
50bps通信カード(開発中) | ||
通信カード (1対n専用) |
1200bps通信カード | |
50bps通信カード(開発中) | ||
上位通信カード | 通信カード(CC-Link用、Ver.1アナログ16点対応) | |
通信カード(CC-Link用、Ver.1アナログ32点対応) | ||
通信カード(DeviceNet用、アナログ16点対応) | ||
通信カード(DeviceNet用、アナログ32点対応) | ||
通信カード(Modbus用) | ||
通信カード(Modbus/TCP(Ethernet)用) | ||
通信カード(Tリンク用) | ||
上位通信カード (1対n専用) |
通信カード(Modbus/TCP(Ethernet)用) | |
通信カード(Modbus用) | ||
アナログ入出力 カード |
直流電圧入力カード(絶縁4点) | |
直流電圧入力カード(絶縁8点) | ||
直流電流入力カード(絶縁4点) | ||
直流電流入力カード(絶縁8点) | ||
直流電圧出力カード(絶縁4点) | ||
直流電圧出力カード(絶縁8点) | ||
直流電流出力カード(絶縁4点) | ||
熱電対入力カード(絶縁4点) | ||
測温抵抗体入力カード(絶縁4点) | ||
ポテンショメータ入力カード(絶縁4点) | ||
ディストリビュータ入力カード (絶縁4点、2線式伝送器用電源付) | ||
CT入力カード(実効値演算形、絶縁4点) | ||
交流電圧入力カード(絶縁4点) | ||
接点入出力カード | 接点入力カード(Di16点) | |
接点入力カード(Di16点、外部入力電源) | ||
接点出力カード(Do16点、リレー) | ||
接点出力カード(Do16点、オープンコレクタ) | ||
接点出力カード(Do16点、トライアック) |
2.特 徴
(1)増設の容易性とスペース効率
D5シリーズと同様に、マスタ局−スレーブ局間の通信(図2)および上位通信カードを利用した上位のPCやPLCとの通信(図3)が可能です。なお、上位通信カードとしては、Modbus、Modbus/TCP、CC-Link、DeviceNet、T-Linkなど、各種の通信プロトコルに対応するカードを準備しています。
D3シリーズでは、さらに上位通信専用のテレメータ通信カードを開発し、上位のPCやPLCに対して複数台のテレメータを接続可能にしました(図4)。この構成を集中監視対応テレメータと呼びます。この通信カードは同一ベース上に複数台実装できるため、中央監視室からの複数現場の監視が省スペースで行えます。増設も、ベースの許容範囲内であれば容易に行えます。現場とは1:1の通信を行っており、接続台数による待ち時間の変化はありません。
また、中央からの出力も可能であるため、いろいろなアプリケーションに対応できます。
(2)配線ならびに保守の容易性
入出力カードの前面に2ピースタイプの分離可能な端子台を採用しています。この端子台により、配線ならびに保守が容易となっています。また、入出力カードの取り付け、取り外しがワンタッチで行えるため、定期点検や交換が容易です。
(3)操 作 性
ご使用時、複雑な設定をほとんど必要としません。入出力カードでは、レンジやセンサの種類などを側面のディップスイッチで設定するだけです。
通信カードでは、マスタ局/スレーブ局の設定を同様に側面のディップスイッチで行うだけです。
1対1、1対1(上位通信付)のシステムでは、同じスロット番号にペアとなる入出力カードを実装するだけです。マスタ局の第1スロットが入力カードの場合、スレーブ局の第1スロットに出力カードを実装します(図2、図3)。
(4)豊富な入出力カード
アナログ入力については、直流電圧入力、直流電流入力、熱電対入力、測温抵抗体入力などを準備しています。接点出力についても、リレー出力、オープンコレクタ出力、トライアック出力などを取り揃え、多種多様の入出力に対応しています。
さらにCT入力カード(形式:D3-CT4)や交流電圧入力カード(形式:D3-PT4)も準備していますから、現場の電力監視が容易に実現できます。
お わ り に
D3シリーズは、多くのお客様からのご要望と今までの経験をベースにして生まれた製品です。私設線や光ファイバへの対応など、課題も数多く残しています。
エム・システム技研では、課題を解決しつつ、今後さらに機能の拡充に努めて参ります。ご意見やご要望など、ご遠慮なくエム・システム技研のホットラインまでお寄せください。