エムエスツデー 2022年7月号

三重県四日市市
日本板硝子(株)(NSG)の
工業用水の流量コントロールに採用された
電動アクチュエータ
(株)エム・システム技研 システム技術グループ
今回は、三重県四日市市にある日本板硝子(株)(NSG)を訪問し、工業用水の流量コントロールにご採用いただいた電動アクチュエータ サーボトップ2(形式:PRP)について同社 堀様、および選定とエンジニアリングを担当されたNSGグループの日本板硝子エンジニアリング(株)の望月様にお話を伺いました。
[エム・システム技研、以下エムと略称]本システムの概要や構成についてお聞かせください。
[堀様]今回のシステムでは、製品の生産に使われる「溶液」の温度を制御します。工業用水を使用して70℃から20℃程度まで「ゆっくり冷却する」システムです。巨大な2つのタンクを工業用水が包むように流れてタンク全体を冷やす構造になっています。今までは水量調整を手動バルブで行っていましたが、季節によって水温と気温が大きく変わるため、バルブの開度調整を季節ごとに変更する必要がありました。今回は、このバルブの開度調整を自動化したシステムを実現しました。
「1/1000キット」との出会い
[エム]今回、バルブの開度調節部分にエム・システム技研の電動アクチュエータをお選びいただいた理由は何でしょうか?
[望月様]実は、今回の選定では最初は、空気圧式のバルブを選ぼうと考えていました。しかし、エム・システム技研のWebサイトにある電動調節弁に革命を起こす1/1000キット(写真1)というデモキット紹介動画を拝見しました。

こんなに精度の良い電動アクチュエータがあれば、今回の「工業用水の流量コントロール」を空気圧式ではなく、電動式でできるのではないかと考えました。
写真2 1/1000キットそこでエム・システム技研に連絡して実際の1/1000キット(写真2)をもってきてもらいました。この1/1000キットが大変良くできていて、とても分かりやすく、「これなら電動式で自動化できそうだ」と思いました。
操作部コンポーネントシリーズカタログ6ページ(図1)に記載されている通り、空気圧式を選定すると、空気の配管をもってくるなど、周囲の使用環境を整えるためのコストがかかります。電動式にできることで大きい効果が期待できます。その結果として、工期が短くなりますし、ランニングコストも抑えられると思いました。
バルブの選定に関して
[エム]今回のバルブの選定に関してはいかがでしたでしょうか?
[望月様]今回は手動弁から電動弁への交換なのでバルブを交換する必要がありました。エム・システム技研のコラボマップ(写真3)にある SKC(株)様にお願いしてKITZ社製のバルブを選定してもらいました。SKC(株)様にバルブのサイジングもしていただいたため、変更をスムーズに進めることができました。
写真3 コラボマップ
SKC株式会社の電動調節弁(電動アクチュエータはエム・システム技研製)
自動化による効果
[エム]今回の自動化によってどのような効果がありましたか?
[堀様]今までは手動弁を季節ごとに調整して「溶液」の冷却を行っていたので、季節外れの気温になると時間がかかりすぎる「冷却不足」や、反対に急激に冷やしすぎる「過冷却」が発生します。「過冷却」が発生すると、「溶液」が再利用できなくなり、すべて産業廃棄物になってしまいます。今回の自動化では、PLCを用いて温度制御を行うように設計しました。この結果、どんな季節でも一定の時間で「溶液」を「ゆっくり冷却」することができるようになりました。おかげで産業廃棄物として「溶液」を処分することがなくなりました。
[エム]今後の予定をお聞かせください。
[望月様]我々の製造ラインには、板ガラスの製造工程で空気圧式のバルブを多く使っているので、これを機に他のバルブの電動化も検討してみたいと思いました。
精度の良い電動アクチュエータ サーボトップ® 2(形式:PRP)を採用し、
バルブの開度調整を自動化できました。
[拡大図]
[エム]本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エム·システム技研をよろしくお願いいたします。
採用された製品のご紹介
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電動アクチュエータ サーボトップ®2
ステッピングモータを搭載し、高トルク200N・mと高分解能1/1000を実現した電動アクチュエータです。
NSGグループのご紹介
NSGグループは、建築用・自動車用ガラスおよびガラス加工製品において世界最大級のメーカーの一つで、NSGグループの成長戦略を担う組織としてクリエイティブ・テクノロジー事業部門をたちあげました。
グループ従業員数は約26,000人。世界各地に主要な製造拠点を持ち、100ヵ国以上で製品の販売を行っています。
【主要な3事業分野】
1.建築用ガラス事業は、各種建築用ガラス、および太陽電池用ガラス等を製造・販売しています。
2.自動車用ガラス事業は、新車用(OE)ガラス、補修用(AGR)ガラス、産業用輸送機材(ST)向け
ガラスの分野で事業を展開しています。
3.クリエイティブ・テクノロジー事業部門は、NSGグループの成長戦略を担う部門として2020年10月1日に設立されました。


本システムについての照会先:
(株)エム·システム技研
カスタマセンター システム技術グループ
TEL:06-6659-8200