2000-2001年計装豆知識
- インターネットとイントラネット(1)/2001.12
- LONWORKSについて/2001.11
- 計装配線用電線・ケーブルについて/2001.9
- 電磁弁について/2001.8
- 汎用インバータについて/2001.7
- 接地について/2001.6
- ポーラログラフについて/2001.5
- ORP(酸化還元電位)について/2001.4
- イオン電極のはなし/2001.3
- 溶存酸素計のはなし/2001.2
- 電磁濃度計のはなし/2001.1
- 電気伝導率計のはなし/2000.12
- pH(ピーエッチ)計(3)2000.11
- コアレス電流センサ/2000.10
- pH(ピーエッチ)計(2)/2000.9
- pH(ピーエッチ)計(1)/2000.8
- 調節弁の基礎知識(3)/2000.7
- 調節弁の基礎知識(2)/2000.6
- 調節弁の基礎知識(1)/2000.5
- 電気機械器具の防爆構造(2)/2000.4
- 電気機械器具の防爆構造(1)/2000.3
- CC-Link/2000.2
- DeviceNet(デバイスネット)/2000.1
エムエスツデー 2000年1月号
DeviceNet(デバイスネット)
はじめに
DeviceNet(デバイスネット)は、FA向けの制御用ネットワークとして米国のアレン・ブラッドリー社により開発され、1994年に発表されました。DeviceNet開発の狙いはネットワーク仕様の標準化(オープン化)にあり、DeviceNetを使用した異なるメーカーの機器間での通信や他メーカーの同等機種との交換を可能にしようというものです。その後、アレン・ブラッドリー社が中心となって、米国に本部を置く非営利団体ODVA(Open DeviceNet Venders Association)が設立され、DeviceNetの所有権も同社からODVAへ移管されました。ODVAに参加すれば、DeviceNetの仕様開示が受けられるほか、DeviceNetに関する新規仕様の提案もできます。現在、世界で約300社以上の機器メーカーが会員となり、多くのDeviceNet対応製品が発表されています。図1にDeviceNet対応のエム・システム技研製アナログ信号用I/Oユニット、マルチアナログ伝送器を示します。

DeviceNetの概要
DeviceNetの特徴は、データリンク層と物理層の一部にISO規格(11898)のCAN(Controller Area Network)を採用し、それにDeviceNetの物理層およびアプリケーション層を加えて通信規約を完成している点にあります(図2参照)。以下、これらの特徴について簡単に説明します。

• CAN
BOSCH社(独)が車載用のLANとして開発した通信プロトコルで、ハーネスの省配線と分散制御を目的としています。車載用という条件から高温・高ノイズ環境に優れ、高速応答性を特徴としています。
• 物理層
トランクライン/ドロップライン、およびディジチェーン、枝状分岐のBus接続で、1つのネットワークあたり最大64ノードまで接続できます。3種類の通 信速度を選択でき、通信速度によってケーブルの総延長が異なります(図3参照)。ケーブルは信号と電源の2つのツイストワイヤで構成され、信号と電源を同一多芯ケーブルで供給します。また、コネクタの形状やワイヤ被覆の色を規定して、誤配線を防止しています。

• アプリケーション層
DeviceNetでは、CANの通信プロトコル上で、データパケットの交換を行います。データパケットには優先順位がつけられ、同一ネットワーク上の機器毎に割り当てをすることができます。また、データ長も可変で、ノード当たりの制約もありません。
データ領域のアドレス割付は機器の種類毎に定められたデバイスプロファイルという仕様で定義されています。たとえば、アナログ信号のI/Oモジュール用、インバータ用といった単位でデバイスプロファイルが定義されているわけです。このデバイスプロファイルによって、異なるメーカーの同種製品間での互換性を実現しています。
<参考文献>
高木商会「電子制御Vol. 56」
【(株)エム・システム技研 システム技術部】