2000-2001年計装豆知識
- インターネットとイントラネット(1)/2001.12
- LONWORKSについて/2001.11
- 計装配線用電線・ケーブルについて/2001.9
- 電磁弁について/2001.8
- 汎用インバータについて/2001.7
- 接地について/2001.6
- ポーラログラフについて/2001.5
- ORP(酸化還元電位)について/2001.4
- イオン電極のはなし/2001.3
- 溶存酸素計のはなし/2001.2
- 電磁濃度計のはなし/2001.1
- 電気伝導率計のはなし/2000.12
- pH(ピーエッチ)計(3)2000.11
- コアレス電流センサ/2000.10
- pH(ピーエッチ)計(2)/2000.9
- pH(ピーエッチ)計(1)/2000.8
- 調節弁の基礎知識(3)/2000.7
- 調節弁の基礎知識(2)/2000.6
- 調節弁の基礎知識(1)/2000.5
- 電気機械器具の防爆構造(2)/2000.4
- 電気機械器具の防爆構造(1)/2000.3
- CC-Link/2000.2
- DeviceNet(デバイスネット)/2000.1
エムエスツデー 2000年7月号
調節弁の基礎知識(3)
調節弁駆動部
調節弁駆動部(以下、駆動部と呼ぶ)とは、調節計からの操作信号を受け、その値に確実に対応した弁開度を得るために必要な駆動力を発生する機構部です。
駆動部は、動力源の違いによって、空気作動式、油圧作動式、電気作動式(電動式)などの方式に大別されます。これらのうち、現在では特殊な用途を除いて、空気作動式もしくは電気作動式が多く使用されています。
• 空気作動式
構造が簡単であり、大きな駆動力が得られます。また、取り扱いも容易で、他の方式に比べて比較的安価であるため、最も多く使用されています。一方、空気には圧縮性があるため、精度、応答性には限界があります。また、動力源である圧縮空気を発生させるための空気源装置(コンプレッサ、脱湿機、フィルタなど)が大がかりになるなどの難点もあります。空気作動式駆動部の代表例として、ダイヤフラム式の構造図を図1(直線運動形)、および図2(回転運動形)に示します。

• 電気作動式
動力源(電源)の入手は一般に容易であり、比較的小型ながら強力な操作力が得られます。また、原理上、高分解能(高精度)、高速応答性を特長としています。かつては、構造が複雑で、比較的高価であったため、市場での普及率が低かったのですが、近年は信頼性の高い、安価な電気作動式駆動部が数多く商品化され、年々需要が高まってきています。
電気作動式駆動部には、電動モータ式とサーボモータ式があります。電動モータ式は、主として中~大口径の弁に用いられ、ステータス信号によって開/閉動作を行います。サーボモータ式は、比較的小口径の弁に用いられます。弁開度をフィードバック制御する機構を備え、調節計からの操作信号に対応した正確な弁開度が得られます。また、操作信号に対する応答性も優れており、固有周期が短い制御ループにも用いることができます。
サーボモータ式の駆動部の例として、エム・システム技研製のサーボトップ 2(直線駆動タイプ、代表形式:PSN1およびPSN3)の外観および内部構造を図3、図4に示します。サーボトップ 2はマイクロプロセッサによるデジタル式開度制御機構を備えたステッピングモータ式駆動部です。弁に搭載後に、全閉・全開位置に現物合わせのうえ、その位置を全閉・全開位置として学習させることや現場で開閉速度の調整が可能であるなど、各種の設定調整が容易になっています。また、ブラシレス構造に伴う長寿命、さらに1/1000の高分解能など多くの特長を持っています。

お わ り に
調節弁は制御システムにおける最終操作端として重要な位置を占めていますが、調節弁本体の機構は基本的に非常にシンプルなものです。それ故に、これまで長い間、革新的な技術の出現はほとんど見られませんでした。しかし、本稿で紹介した、マイクロプロセッサ搭載の駆動部や、さらに通信ネットワーク対応の駆動部(エム・システム技研もまもなく発売する予定)など、今後は電気作動式の駆動部を中心に画期的な進歩が予測されます。
【(株)エム・システム技研 システム技術部】