エムエスツデー 2008年3月号

テレメータ D3シリーズ(1)
− D3シリーズの概要と構成 −
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
エム・システム技研ではDASTシリーズ、モデムインタフェース(形式:22LS1)(ジャストフィットテレメータ)、テレメータユニット(形式:DLS)、モデムインタフェース(形式:SMDM)(MsysNetテレメータ)、D5シリーズ、D3シリーズなど各種テレメータを準備し、30年以上にわたりご愛顧いただいています。
NTT専用回線に接続できるモデムとしては、符号品目50bps用として50bpsモデム(形式:MOD、MOD1)、帯域品目3.4kHzとして300bpsモデム(形式:MOD2)、1200bpsモデム(形式:MOD3)をはじめ多くのモデムを準備し、多種多様のご要望に応えるべく機種を増やして参りました。
今回は、テレメータD3シリーズについて数回に分けてご紹介します。
1.概 要
テレメータD3シリーズ(図1)は、テレメータカード、通信カード、入出力カードなどを組み合わせることにより、小規模から大規模までのテレメータシステムを構成することが可能です。テレメータカードとしてはNTT専用回線、光ファイバ、より対線(ツイストペアケーブル)、また外部にモデムユニットや無線ユニットを接続するためのRS-232-Cなどがあり、また1:nの集中監視も容易に実現できます。
2.テレメータカード
テレメータカードはNTT専用回線や外部通信機器、外部通信配線と接続するカードです(表1、図2(a))。
表1 テレメータカードの種類
形 式 | 回線種類 | 回線仕様 | 通信速度 | 回線数 | 最長距離 | その他 |
D3-LT1 | NTT専用回線 | 帯域品目3.4kHz | 1200bps | 1:1 | − | |
D3-LT2 | NTT専用回線 | 符号品目50bps | 50bps | 1:1 | − | |
D3-LT3 | NTT専用回線 | 帯域品目3.4kHz | 1200bps | 1:n | − | |
D3-LT4 | NTT専用回線 | 符号品目50bps | 50bps | 1:n | − | |
D3-LT5 | ツイストペア線 | CPEV-09φ | 50bps~ 38.4kbps |
1:1 | 10km | |
D3-LT6 | ツイストペア線 | CPEV-09φ | 50bps~ 38.4kbps |
1:n | 10km | |
D3-LT7 | NTT専用回線 | 帯域品目3.4kHz | 1200bps | 1:1 | − | 開発中 |
D3-LT8 | NTT専用回線 | 符号品目50bps | 50bps | 1:1 | − | SIN-NET専用※ |
D3-LT9 | ツイストペア線 | CPEV-09φ | 50bps~ 38.4kbps |
1:1 | 10km | SIN-NET専用※ |
D3-NS1 | ツイストペア線 | CPEV-09φ | 125kbps | 1:1 | 3km | SIN-NET専用※ |
D3-NS2 | ツイストペア線 | CPEV-09φ | 125kbps | 1:1 | 3km | SIN-NET専用※ テレメータ インタフェース カード |
D3-LP1 | 光ファイバ | GI-850nm | 62.5kbps | 1:1 | 4km | |
D3-LP2 | 光ファイバ | GI-850nm | 62.5kbps | 1:n | 4km | |
D3-LR1 | RS-232-C | 無線データ通信 モデム(形式: RMD2)対応 |
9600bps | 1:1 | − | モデム インタフェース カード |
D3-LR2 | RS-232-C | 無線データ通信 モデム(形式: RMD2)対応 |
9600bps | 1:n | − | 開発中 |
D3-LR3 | RS-232-C | 専用回線通信 モデム(形式: MOD□)専用 |
50~ 2400bps |
1:1 | − | モデム インタフェース カード |
※多重伝送 SIN-NETシステム:分散形(親局を必要としない)システムを構築できる、エム・システム技研独自の通信方式
3.通信カード
通信カードは、テレメータで送受信するデータをPLCやPCに送るためのカードです(表2)。
表2 通信カードの種類
形 式 | 通信種類 | 通信仕様 | 回線数 |
D3-NC1 | CC-Link | Ver.1 アナログ 16点 | 1:1 |
D3-NC2 | CC-Link | Ver.1 アナログ 32点 | 1:1 |
D3-NC3 | CC-Link | Ver.2 | 1:1 |
D3-ND1 | DeviceNet | アナログ 16点 | 1:1 |
D3-ND2 | DeviceNet | アナログ 32点 | 1:1 |
D3-ND3 | DeviceNet | アナログ 64点 | 1:1 |
D3-NE1 | Ethernet | Modbus/TCP | 1:1 |
D3-NE2 | Ethernet | Modbus/TCP | 1:n |
D3-NF1 | T-Link | 1:1 | |
D3-NM1 | Modbus | RS-485 | 1:1 |
D3-NM2 | Modbus | RS-485 | 1:n |
D3-NP1 | PROFIBUS-DP | 1:1 |
直接PLCから相手局の出力カードに出力することも可能です。1:1のテレメータにこの通信カードを実装することにより、上位監視が容易になります(図2(b))。
1:n対応の通信カード(形式:D3-NE2、Modbus/TCP(Ethernet))、通信カード(形式:D3-NM2、Modbus)と1:n対応のテレメータカードにより、複数回線の集中監視を容易に実現できます(図3)。
D3-NE2、D3-NM2以外のオープンネットワーク対応の通信カードを用いて複数回線の集中監視を実現する場合は、1:1対応のテレメータカードと通信カードを組み合わせることで対応できます(図4)。
4.入出力カード
表3 入出力カードの種類
形 式 | 入出力カードの種類 | 入出力 | 点数 |
D3-SS4 | 直流電流(絶縁) | 入力 | 4 |
D3-SS8 | 直流電流(絶縁) | 入力 | 8 |
D3-SV4 | 直流電流(絶縁) | 入力 | 4 |
D3-SV8 | 直流電流(絶縁) | 入力 | 8 |
D3-YV4 | 直流電流(絶縁) | 出力 | 4 |
D3-YV8 | 直流電流(絶縁) | 出力 | 8 |
D3-YS4 | 直流電流(絶縁) | 出力 | 4 |
D3-TS4 | 熱電対(絶縁) | 入力 | 4 |
D3-TS8 | 熱電対(絶縁) | 入力 | 8 |
D3-RS4 | 測温抵抗体(絶縁) | 入力 | 4 |
D3-RS8 | 測温抵抗体(絶縁) | 入力 | 8 |
D3-DS4 | ディストリビュータ(絶縁) | 入力 | 4 |
D3-MS4 | ポテンショメータ(絶縁) | 入力 | 4 |
D3-MS8 | ポテンショメータ(絶縁) | 入力 | 8 |
D3-CT4 | CT(交流電流) | 入力 | 4 |
D3-PT4 | PT(交流電圧) | 入力 | 4 |
D3-PA16 | 積算パルス | 入力 | 16 |
D3-PC16A | オープンコレクタパルス | 出力 | 16 |
D3-BA32A | BCD | 入力 | 8桁※ |
D3-BC32A | BCD | 出力 | 8桁※ |
D3-DA16 | フォトカプラ絶縁(内部電源) | 入力 | 16 |
D3-DA16A | フォトカプラ絶縁(外部電源) | 入力 | 16 |
D3-DA16B | フォトカプラ絶縁(AC100V) | 入力 | 16 |
D3-DA32A | フォトカプラ絶縁(外部電源) | 入力 | 32 |
D3-DA64A | フォトカプラ絶縁(外部電源) | 入力 | 64 |
D3-DC16 | リレー | 出力 | 16 |
D3-DC16A | オープンコレクタ | 出力 | 16 |
D3-DC16B | トライアック | 出力 | 16 |
D3-DC32A | オープンコレクタ | 出力 | 32 |
D3-DC64A | オープンコレクタ | 出力 | 64 |
※ストローブ信号制御なしの場合
入出力カードは、センサその他の各種外部機器と接続するためのカードです(表3)。変換器の総合メーカーであるエム・システム技研としては、直流電圧をはじめとして熱電対、測温抵抗体など、多種センサに対応するためのカードを準備しています。入出力レンジについては、側面のディップスイッチによって容易に変更できます。
またD3コンフィギュレータソフトウェア(形式:D3CON)注)を使うことによって、1点ごとのスケーリングも容易に行えます(PCによる)。ここに記載した入出力カードはすべてねじ端子台ですが、コネクタタイプも用意しています。
お わ り に
本稿では、エム・システム技研がご提供できる様々な製品、またその様々な使い方についてご承知いただくため、一部の仕様だけをご説明しています。ご検討いただく場合には、必ず各機器の仕様書をご参照願います。また、ここにはまだ記載できない開発中のカードもあります。ご希望、ご疑問をおもちの際は、お気軽にホットラインまでお問い合わせください。
次回からは、これらの機器の使用例やちょっと変わった使い方などを連載していきたいと考えています。
注) D3CONについては、エム・システム技研のホームページからダウンロードいただけます。D3シリーズとパソコンとの接続には、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル(形式:MCN-CON)が必要です。