エムエスツデー 2008年4月号

テレメータ D3シリーズ(2)
− 無線データ通信モデム(D3-LR1)−
(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
前回の「テレメータ D3シリーズ(1)」では、D3シリーズの概要と構成についてご紹介しました。今回は、NTT専用回線の代わりに無線データ通信モデム(形式:RMD2、図1)を用いたD3シリーズテレメータをご紹介します。
RMD2とD3シリーズとの接続にはモデムインタフェースカード(形式:D3-LR1、図2)を用います。本稿では、主にD3-LR1を説明することによって、D3シリーズの無線テレメータの機能や使い方をご説明します。
1.D3-LR1の概要
D3-LR1はシリアル通信コネクタ(RS-232-C)を備えたテレメータカードです。通信プロトコルをRMD2専用にすることによって容易に接続できるようにしています。また、無線で大きな問題となる設置場所に伴う通信異常を回避するため、リピータ機能をもたせています。
2.D3-LR1の設定
D3-LR1の主な設定は側面と前面のロータリスイッチとディップスイッチを使って行います(図3)。複雑な設定作業を必要としないため、容易なシステム立ち上げが可能です。
データ通信モデム(RMD2)の設定もD3-LR1が自動で行うため極めて容易です。
●自局アドレスの設定(SA1)
ロータリスイッチにより自局のアドレスを16進(0~F)で設定します。マスタ局は必ず「0」に設定します。
●周波数グループ設定(SW6)
RMD2で使用する周波数グループとグループ番号(チャネル番号)を設定します。
●上位書込設定(SW1、2)
通信カードを用い、PLCやPCから各スロットの出力カードへの書込の有効/無効切換えを行います。相手局の同一スロットに入力カードが実装されていない場合にだけ設定できます。
●機能設定(SW3)
・マスタ/スレーブ切換
・RMD2の初期化設定
3.リピータ機能
障害物などがあり電波の状態が悪い場合には、リピータ局(中継局)を設けることが可能です。D3-LR1はリピータ機能を備えているため、容易に対応できます。
リピータ局は最大4台設置することが可能です。リピータ局を使用したシステムでは、マスタ/スレーブ局それぞれの通信相手は必ずリピータ局となります。リピータ局が複数存在する場合はコンフィギュレータソフトウェア(形式:D3CON)注1)で設定した指定先アドレスをもつリピータ局との間だけで通信を行います。
リピータ局として使用する場合は、入出力カードは実装できません。
4.システム構成例(図4)
ここでご紹介するシステムは、PLC監視、1:1通信、リピータ局の設置を実現しています。
マスタ局の入力がスレーブ局に出力され、またスレーブ局の入力がマスタ局に出力されます。ここでは、リピータ局を経由しデータの送受信が行われます。
テレメータD3シリーズの特長といえますが、マスタ局とスレーブ局のスロット位置を合わせるだけで入出力が可能になります。入出力レンジは、入出力カード側面のディップスイッチによって容易に変更できます注2)。
おわりに
なお、現在 1台のマスタ局に複数台のスレーブ局を接続できるモデムインタフェースカード(形式:D3-LR2)の開発を行っています。これが実現できれば、多様なシステムに対応できると考えています。
またD3シリーズ以外にもモデムインタフェース(形式:SMDM)を用いることによって、無線を用いたより複雑なシステムに対応可能です。
注1) D3CONについては、エム・システム技研のホームページからダウンロードいただけます。D3シリーズとパソコンとの接続には、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル(形式:MCN-CONまたはCOP-US(USB対応))が必要です。
注2)ディップスイッチの設定の詳細については仕様書をご参照ください。