センサ
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エムエスツデー 2008年7月号
CT(Current Transformer)について(1)
近年、省エネへの関心が高まり、電力監視システムを構築することが多くなっています。その際必要になるCT(Current Transformer)の原理と概要を、今月から2回にわたってご紹介します。
1.CTとは
CTは変流器、VT(Voltage Transformer)は計器用変圧器のことで、共に計器用変成器に分類され、JISでは以下のように定義されています。
・ 計器用変成器:電気計器又は測定装置と共に使用する電流及び電圧の変成用機器で、変流器及び計器用変圧器の総称
・ 変流器:一次電流をこれに比例する二次電流に変成する計器用変成器
・ 計器用変圧器:一次電圧をこれに比例する二次電圧に変成する計器用変成器
2.基本原理
図1に示すように、変成器は磁界の変化を介して信号や電力を伝達します。
通常、CTの二次側は、低インピーダンス(VTの二次側は高インピーダンス)で使用します。
一次側に交流電流を流すと鉄心中に変化する磁束が発生し、この磁束の変化に対応して二次側に交流電流が流れます。
一次側、二次側の電流(i )と巻数(N )には式(1)に示す関係が成り立ちます(理想的なCTの場合)。
巻数比 N 2/N 1=n とおき、式(1)を変形して i 2を求めると、式(2)で示すように、一次側の電流を巻数比で割った値が二次側に流れる電流になります。
CTは、この原理を利用して、一次側の電流を二次側で計測しやすい電流に変換しています。
CTの場合、もし二次側を開放の状態で一次電流を流すと、二次電流を流そうとして開放端に高電圧が発生し、絶縁破壊、焼損事故につながる恐れがあるので注意が必要です。
エム・システム技研のプラグインタイプのCT変換器には、二次側開放防止のためのCTプロテクタを取り付けているため、変換器をソケットからはずしても二次側開放にならず事故を防ぐことができます(図2)。
3.定格電流について
CTを用いて、一次電流を二次電流に変換し計測を行いますが、定格一次電流および定格二次電流は、JIS C1731-1により表1のとおり定められています。
表1 変流器の定格電流
定格一次電流〔A〕 | 定格二次電流〔A〕 | |||||
− | 1 | 10 | 100 | 1000 | 10000 | 1 5 |
− | − | 12 | 120 | 1200 | 12000 | |
− | − | 15 | 150 | 1500 | 15000 | |
− | 2 | 20 | 200 | 2000 | 20000 | |
0.25 | 2.5 | 25 | 250 | 2500 | − | |
− | 3 | 30 | 300 | 3000 | 30000 | |
− | 4 | 40 | 400 | 4000 | − | |
0.5 | 5 | 50 | 500 | 5000 | − | |
− | 6 | 60 | 600 | 6000 | − | |
− | − | 75 | 750 | − | − | |
− | 8 | 80 | 800 | 8000 | − |
* * *
次回はCTの精度やクランプ式交流電流センサについてご説明します。
〈参考文献〉
JIS C 1731-1 計器用変成器−(標準及び一般計測用)第1部:変流器