SDGsとGXよもやま話 第3回 「GX実現」に向けた産業システムの省エネの推進と「GA」
(株)エムジー 顧問 富田 俊郎
はじめに
「GX」とはグリーントランスフォーメーションの略で化石燃料をできるだけ使わずにクリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のことです。一方「GA」はグリーナーオートメーションの略で産業システムが「カーボンニュートラル」を達成するための製品や製造システムの自動化のことを意味します。「GA」は産業の世界でより広範囲な概念の「GX」を達成するための必須要素となります。
国内でもCFPデータ提供の義務化が始まる
欧米では製品や部品の製造に消費したエネルギーをデータとして提供することがすでに義務化されていますが、日本では昨年からトライアルが始まり、今年度(2024年度)からは本格運用が始まります。このよもやま話の第1回で述べたCFP(カーボンフットプリント)の測定とデータ提供が必須となることを意味し、とくに製品や部品を輸出している会社はこのデータが提供できないと購入の対象から外される恐れがあります。
図1に示すように製造業のCO2削減の取組みが日本のGX推進のカギとなっていることが分かります。環境省ではエネルギー生産者の視点とエネルギー消費者の視点でCO2排出量を集計しており、製造業が属する産業部門の排出するCO2は全体の4割となっています。これは製造業がCO2を排出して作られるエネルギーを最も多く使っているということを示しています。

図1 エネルギー期限にCO2排出量の部門別内訳
工場全体あるいはフロアレベルの計測から製造ラインおよび装置単位での計測へ
国内でGA(グリーナーオートメーション)を実現するための製品やシステムの導入がまだ進んでいないのは、図2、図3に示すように、製造ライン単位やさらに製造設備単位での計測が、導入コストの問題などから普及が進まなかったためです。
欧米でのCFPデータ収集システムの例を図3に示します。無線センサとクラウドで構成されるWebベースのシステムで、ダッシュボードに測定データを解析したCFPデータを表示し提供します。
しかしながら国内でも製品あるいは部品ごとの消費エネルギーデータ測定を可能にする機器が導入され始めているので、その製品の例を図4に示します。これからの導入の拡大が期待されています。

図2 工場全体あるいはフロアレベルの計測から製造ラインよおび装置単位での計測へ

図3 欧米でのCFPデータ収集システムの例

図4 製造ラインおよび装置単位での計測に使用される国内製品の例
【コラム】CFPデータを提供するシステムの導入の加速
- 欧州ではEUに輸出する企業は製品のCO2排出量の報告の義務化が始まっている
- 国内でも上場企業のGHG(温室効果ガス)排出量の計測・開示を義務化
- 装置レベルでの計測システムの導入の加速
- 有線・無線で計装可能な製品の提供
- クラウド上で測定および解析結果のダッシュボード表示およびCFPデータ提供