今回は、神奈川県湯河原町の町営温泉事業において、温泉集中管理システムの中央監視にご採用いただいたWebロガー2(形式:DL30)について、湯河原町温泉課の諏訪部様をはじめ、システム構築に携わられた関係者の皆様にお話を伺いました。
エムジー 本システム導入の経緯についてお聞かせください。
諏訪部様 既設の中央監視システムでは、NTTのアナログ専用回線を使用していました。しかし2029年に専用回線がサービス終了になることもあり、主流となっているインターネット回線やモバイル回線を利用したIPベースのシステムへ移行する更新の検討を始めました。
現状、各サービランスと主要な源泉は、すでに自動制御できるようになっていますが、一部源泉は手動での調整が必要です。また、倒木による停電など、非常時には迅速な対応が必要になるため、担当者がどこからでも状況を確認することができるように、スマホやタブレットで監視画面を表示できるシステムを要望しました。
さらに、既設の温度監視には、一部後付けで別のクラウドサービスを利用した経緯から複数の監視画面があり、それらを1つにまとめたい意図もありました。
エムジー 本システムの概要や構成についてお聞かせください。
諏訪部様 本システムでは、源泉から各温泉事業者へ配湯するまでの湯の温度・流量、貯湯槽の水位やポンプの状態を監視しています。源泉は25本流入しており、相互に湯をやり取りする配湯所群に集約され、各配湯所から一帯の温泉地へ配湯されます。
この温泉集中管理システムを導入したことで、末端での湯量不足や湯温度低下を防ぎつつ、温泉地の需要に合わせた供給ができるようになり、過剰な供給を減らすことができました。
また、それでも消費されなかった湯はそのまま捨てるのではなく、貯湯槽に戻し、別の配湯所へ送るなどして、さらなるむだの削減にも貢献しています。資源環境に配慮した、持続可能な温泉源泉管理が行えるようになりました。
菅谷様 各配湯所にリモートI/O R3シリーズを設置し、湯の温度・流量、貯湯槽の水位やポンプの状態信号などを入力し、モバイルルータを通じて、湯河原町役場に設置しているWebロガー2(形式:DL30)でデータを収集しています。収集したデータはわかりやすく表示したかったので、SCADAソフトを利用してグラフィック画面も作成しました。PCやスマホにもクライアントソフトを導入しており、どこからでも監視できます。
異常時にはDL30から音声通報装置に接点を出力し、発生している異常の大まかな情報が担当者に通報されます。また、同時にDL30からメール通報もされるため、どこでどのような異常が発生しているか詳細な情報を確認することができます。
エムジー このシステムを採用したご感想はいかがですか?
諏訪部様 スマホ画面で監視画面を確認できるようになったことに加え、以前は取込めていなかった温度情報を1つの画面で確認できるようになり、とても便利だと思います。
以前は専用回線の異常や使用していたクラウドサービスの更新周期が影響し、情報更新に時間がかかったり、監視画面がフリーズしたりすることもありましたが、今回の更新でそのような現象も発生しなくなったため、ストレスフリーになりました。
菅谷様 日親電機としては、温泉の中央監視システムにDL30を使用したのは北海道十勝川温泉、鳥取県吉岡温泉に続く3件目でした。温泉の中央監視というのは信号の点数がアナログ信号、デジタル信号を合わせて200点以内に収まるものが多くあり、DL30は1台で取りまとめられるため大変便利です。
また、エムジーの「廃形しない」というポリシーもDL30やリモートI/O R3シリーズを採用した理由の一つです。
大石様 日実際にDL30の設定作業をしてみると、専用のコンフィギュレータソフトウェアから必要な項目を入力するだけで簡単に設定できたため、よかったと思います。
エムジー 今後の予定や課題などをお聞かせください。
諏訪部様 まだ集中監視ができていない源泉も残っているため、監視ポイントを追加・拡張していきたいです。
菅谷様 本件での経験をもとに、全国の温泉事業者様へも便利な中央監視システムを提供できればと考えています。
エムジー 本日はお忙しい中ありがとうございました。今後ともエムジーをよろしくお願いします。

湯河原町のご紹介



(町営7号源泉)
湯河原町は、神奈川県の西南端に位置し、海岸線を除いた三方を箱根、伊豆・熱海の山々に囲まれ、相模灘に向かって流れる新崎川と千歳川の流域に帯状の平坦地があるほかは、緩やかな丘陵地と急傾斜な山地によって形成されています。冬季吹きぬける寒風は三方の山々がさえぎり、四季を通じて相模灘の黒潮の影響を受けて温暖な環境です。
湯河原町営温泉事業は、源泉所有者が揚湯して本管に流入した温泉を買い上げ、使用者に配湯を行う、事業発足当時から他に例をみない形態を今日に残して運営しています。
本システムについての照会先:
日親電機株式会社
代表取締役社長
菅谷 渉 様
TEL:03-3268-0171