お客様訪問記 水道設備の遠方監視システムに採用された「HMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXpro®(形式:SSPRO6)」と「多目的テレメータD3シリーズ

今回は、奈良県吉野郡黒滝村を訪問し、水道設備の監視システムに導入いただいたHMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXpro(形式:SSPRO6)と多目的テレメータD3シリーズについて、黒滝村 林業建設課の中西様と田中様、そして設計当初からシステムに携われている森本様にお話を伺いました。

エムジー システムの導入経緯についてお聞かせください。


森本様 このシステムは水道設備の遠方監視を目的としています。2016年に「黒滝地区簡易水道事業」、「赤滝地区簡易水道事業」と4箇所の飲料水供給施設が「黒滝地区水道事業」として統合されました。この事業統合により、各設備の監視システムを1箇所にまとめ合理化することを目的にシステム構築を行っています。
まず「槙尾浄水場」、「中戸浄水場」、「赤滝浄水場」と黒滝村役場をNTT専用回線で接続しました。その後、2022年から2024年にかけて「桂原ポンプ場」、「鳥住低区加圧配水池」、「笠木低区第一加圧ポンプ場」をシステムに取込みました。今後も「笠木低区第二加圧ポンプ場」、「笠木高区配水池」および「粟飯谷配水池」の水道施設をシステムに組込むことを検討中です。


エムジー システムの概要についてお聞かせください。


森本様 水道設備は村の各所に点在していますので、NTT専用回線を使用し、D3シリーズによりデータを伝送して役場に設置した監視ソフトウェアSCADALINXproのモニタ画面から、各設備の状況を一目で把握できるようにしています。また、頻度は少ないですが設備の異常が発生した場合は、宿直室の積層灯を点灯させて職員に警報を知らせています。
監視している主な項目は「水位」「流量」「濁度」「pH」「各種異常」です。各項目を一定周期で記録し、印刷して確認・分析を行っています。また、遠方にある加圧ポンプ場のポンプを監視画面から操作することもできます。


エムジー 今回、エムジー製品を導入された理由をお聞かせください。


森本様 このシステムの詳細設計を依頼した会社様からエムジー製品を使用したシステムをご提案していただきました。テレメータで採用したD3シリーズは、ベースに電源カード、通信カード、I/Oカードを載せる構造になっています。故障時も対象カードを交換するだけでよく、ソフトウェアが不要なことから、メンテナンス性の良い点が採用の決め手になりました。また、設備更新などの際にもI/Oカードの増設が可能で、むだの少ない設計ができます。さらにもう1点、エムジーの5つのポリシーにある「廃形しない」が大きな安心になりました。数年後のシステムの拡張や更新時に「同じ製品が手に入る」という企業ポリシーは、長い間機器を使用する現場にはとても大切でした。


エムジー 今回のシステムで特長的な点はありますか?


森本様 このシステムでは、2点の特長があります。
1点目は省配線のためにI/O連結ユニット(形式:JC-IO)を導入したことです。システム構成図をご覧ください。黒滝村役場を拠点に各機場間は、NTT専用回線を使用してD3シリーズで監視しています。その中で、桂原ポンプ場ではJC-IOを使用しました。一般的にテレメータ間の信号の受渡しは、多芯ケーブルで配線しますが、JC-IOはEthernetを経由してテレメータから受けたデータをほかのテレメータに伝送することができます。さらに、制御用PLCからもEthernetでデータを取込んでテレメータへ伝送しています。2点目は、信号伝送の一部に無線を採用したことです。鳥住配水池内の流量計が設置されている場所からテレメータがある所までは約200m離れており、この間の通信をNTT専用回線ではなく、ランニングコストのかからない920MHz帯マルチホップ無線機器くにまるを使用した無線通信を行っています。


エムジー システムを導入された効果はございましたか。


中西様 大きな効果として2点あります。
1点目は、配水管の漏水検知の効率化です。このシステムの導入前は各水道施設の点検は現場に担当職員が足を運んでいました。導入後は細かい頻度で流量を監視することで、配水管の漏水を早期に発見して、老朽化している配管を交換することが可能になりました。
2点目は、河川周辺で工事がある場合や大雨の後に「濁度」を監視するようになったことです。「濁度」が高すぎるときには取水を停止し、水質を保持できるようになりました。


エムジー 今後の予定や課題などをお聞かせください。


田中様 冒頭でもありましたとおり、今後も順番に村内の水道施設を遠隔監視システムに組込む検討を進めています。
また、2029年には専用回線が廃止になりますので、ネットワークを再検討する必要があります。代替手段の検討や予算の確保など、今後の課題はいろいろあります。


エムジー D3シリーズはアナログ専用回線をIP化できるIPコンバータにも対応しています。ネットワーク設計を見直す際にはぜひご相談ください。

本日はありがとうございました。

同じ時刻に複数箇所の状態を確認できるので、流量の違いから漏水検知などが早くできるようになりました。

採用された製品のご紹介

  • 多目的テレメータ D3シリーズ
    ベースに電源カード、通信カード、I/Oカードを載せる構造のテレメータです。各種I/Oカードや通信カードをご用意しています。
    D3シリーズ
  • 通信入出力カード

    形式 D3-GE2 RoHs10

    Modbus/TCP上のデータをテレメータカードで扱うことができる通信入出力選択カード(ゲートウェイカード)です。テレメータカードからはアナログ入力カードまたはアナログ出力カードとして認識します。
    形式 D3-GE2
  • HMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXpro®

    形式 SSPRO6 RoHs10

    プロフェッショナルシステムエンジニア向けHMI開発ツールです。各社PLCと通信でき、高品質な画面を作成します。
    形式 SSPRO6
  • 多チャネル組合せ自由形リモートI/OR3シリーズ

    CERoHs10

    ローカルの入出力信号を通信により上位システムへ伝送します。当社のリモートI/Oで最も豊富な入出力カードを用意し、電源の2重化、2系統化など停電対策、故障対策も万全です。
    R3シリーズ
  • I/O連結ユニット

    形式 JC-IOCERoHs10

    ネットワーク上の機器の入出力信号をModbus/TCPを使用して連結するI/Oマッピングができます。
    形式 JC-IO
  • 現場設置形データロガー Webロガー2

    形式 DL30 CERoHs10

    I/O連結ユニットと同様のI/Oマッピングを搭載したデータロガーです。Web画面による遠隔監視機能、データロギング、帳票機能などを標準で備えています。
    形式 DL30
  • 920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる®シリーズ ワイヤレスゲートウェイ

    形式 WL40EW2 RoHs10

    Modbus/TCP(Ethernet)と920MHz帯特定小電力無線機器「くにまる」用ゲートウェイです。
    形式 WL40EW2

    写真はルーフトップアンテナを装着
  • 920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる®シリーズ ワイヤレスゲートウェイ

    形式 WL5MW1 RoHs10

    920MHz帯特定小電力無線により現場のリモートI/O機器とModbus-RTUで接続し通信経路を無線化します。
    形式 WL5MW1

    写真はルーフトップアンテナを装着

奈良県黒滝村のご紹介

奈良県黒滝村 道の駅「吉野路 黒滝」 奈良県黒滝村 道の駅「吉野路 黒滝」

黒滝村は奈良県のほぼ中央に位置し、「奈良のへそ」と呼ばれており、北は桜の名所である吉野山、東は大台山系が連なる川上村、西は下市町及びに五條市、南は大峰山系のふもと天川村に境を接し、平均標高490m、東西12km、南北10km、面積は47.70km²の渓谷型山村です。村域の97%が林野で河川沿いのわずかな平地や山麗斜面に民家が点在し、12ヵ大字の集落を形成しています。気候は太平洋型であり、昼夜の寒暖差が大きく、紀伊山地特有の大量の降雨と多湿、冬季の数か月にわたる降雪が特徴です。
過去5年間の平均気温は13.8℃、最高気温38.4℃、最低気温ー8.6℃、年間平均雨量1,484mmとなっています。この気象条件や恵まれた土壌を基に、良質の木材が生育し、古くから杉やヒノキ材の生産が行われ、吉野林業の拠点となってきました。近年は移住者を誘致していることもあり、子供や若い世代も増えてきています。

本システムについての照会先:
株式会社エムジー
カスタマセンター
システム技術グループ
TEL:06-7525-8800