連載第3回 BAで何ができる?~計装が支える快適・安全なビル管理~
今回はBA分野で計装がどのような役割で活躍しているのかをご紹介します。
BAについて
「BA」とはBuilding Automation(ビルディングオートメーション)の略称で、オフィスビルや商業施設、病院、公共施設などの空調や照明、エレベータ、防災・防犯カメラなどの設備をネットワークで連携し、自動制御・一元管理するシステムです。
BAの目的は、建物内の快適性や安全性の向上です。BAと類似した概念としてBEMS(Building Energy Management System)があります。BEMSは、オフィスビルや商業施設などの空調や照明、電気設備を統合的に監視・制御し、エネルギー消費の見える化と最適化を行うシステムです。エネルギーデータをリアルタイムで収集・分析することで、快適な室内環境を維持しつつ、自動制御やピークカット機能により電力使用量とコストを削減します。BAは空調や照明、防犯など「建物全体の総合管理・自動制御」を行うのに対して、BEMSは「エネルギーの見える化と省エネ」に特化したシステムです。
図:大規模ビルのBAイメージ
BAの歴史を振り返ってみると、1952年にアメリカのホワイトハウスに世界で初めての中央監視盤が設置されました。同時期に日本では、占領軍によりビル管理が本格的に事業として普及し始めました。1963年にリレー式の投影機と連動した自動プログラム運転のビルディングオートメーションシステムが、大阪地区で初めて採用されました。1978年に始まった第二次オイルショックでは、デジタルコントローラが省エネルギーに効果を発揮して、エネルギー対策に貢献しました。
その後、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ付のデジタルコントローラによる最適制御システムが導入され、既設ビルのシステムを最新のシステムへと改修することが行われ始めました。また、デジタル技術のBAシステムへの利用が急速に進みました。さらに、ビルの情報化を「インテリジェントビル」と称して、軽量化・薄型化・小型化された設備とともにBAシステムが各種の設備システムとリンクされ、統合システムやAI知能機能を利用したエレベータの群管理が出現しました。
BAの信号線は、1990年代にLAN方式が普及して、その通信速度はメガバイトへと飛躍し、ネットワーク通信が普及しました。2000年代に入り、BAシステムの通信方式であるBACnetとLONWORKSによる統合が普及し、オープンプロトコルやインターネットにより接続されるようになりました。
BAと計装のかかわりについて
空調や照明、エレベータ、防災・防犯カメラなどの設備を一元監視・自動制御して建物内の快適性や安全性の向上を目的としているBAにおいては、計装が重要な役割を担っています。温度や湿度、明るさなどの建物内の各種データをセンサで計測し、送られた情報を処理して、その結果に応じて空調機器や照明機器などを制御します。このように建物設備を一元監視・自動制御することで環境負荷の低減やランニングコストの削減、業務の効率化などに大きく貢献しています。とくに空調分野においては計装が大きく活躍しています。
図:BAにおける空調システムのイメージ
BAの空調分野における計装の構成要素例
- DDC(Direct Digital Controller)
汎用PLC(Programmable Logic Controller)にはない、空調用に便利な機能を搭載した空調制御専用のBAコントローラです。 - リモートI/O
FAやPAなどの工場においてDCS(Distributed Control System、分散制御システム)やPLC、あるいはPCなどのマスタ機器に対し通信により入出力信号を受渡しする機能をもつ電子機器です。 - VAV(Variable Air Volume)コントローラ
ダンパ開度を調節して送風量を変化させ、室内温度を制御するコントローラです。 - FCU(Fan Coil Unit)コントローラ
ファンコイルユニットファンの運転/停止、強・中・弱スピード制御および冷温水弁の開度制御により室内温度を制御するコントローラです。
当社のオープンネットワークDDCのご紹介
オープンネットワークDDC
DDCは現場に設置される自律分散形のコントローラで、上位SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition、監視制御システム)やほかの制御機器と通信を行います。分散形コントローラは、万一ネットワークが遮断された場合でも、現場の制御を止めることなく継続できます。
主な機能と特長
- リモートI/O R3シリーズのベースに取付け、空調専用DDCとして機能します。
- リモートI/O R3シリーズは扱える点数が多く、豊富な種類の入出力カードを使用できます。アナログ入力・アナログ出力は256点まで、デジタル入力・デジタル出力は1024点まで可能です。
- 国際規格のIEC 61131–3に準拠したプログラミング言語を採用しています。FBD(Function Block Diagram)を推奨しています。
- 空調制御専用ファンクションブロックを使用できます。