電力トランスデューサの解説
■ 三相電力トランスデューサの実配線図(参考)
電力の求め方
110(V)/5(A)の場合、三相電力トランスデューサの標準仕様では、入力電力値として、1000(W)のときに出力値の100%で製作されています。しかし、電力トランスデューサに入力される110(V)/5(A)は、その前に幹線のVT、CTにより逓減されていますので、求める幹線電力は逓減された率で乗算します。
W=VT比×CT比×1000(W)………式(1)
入力値100% に相当する幹線電力値(幹線のワットレンジ)は式(1)で求めた値となります。
(例)幹線のワットレンジの求め方
VT比 : 6600(V)/110(V)=60
CT比 : 200(A)/5(A)=40のとき
次のように求められます。
W=60×40×1000W=2400(kW)
したがって、幹線ワットレンジは0~2400(kW)となります。
電力トランスデューサの製作可能範囲
幹線ワットレンジとCT、VT決まっている場合は、電力トランスデューサのワット比を変更する必要があります。
標準の三相電力トランスデューサは110(V)/5(A)で1000(W)です。これをワット比1とすると、製作可能なワット比の範囲は 0.5~1.2 となります。
希望するワット値=VT比×CT比×500~1200(W)……式(2)
(例)製作可能なワット比の求め方
VT比 : 6600(V)/110(V)
CT比 : 200(A)/5(A)のとき
幹線ワットレンジを0~2000(kW)にしたい。
式(2)により
したがって、ワット比が0.833となり製作可能です。
三相電力トランスデューサの標準レンジ
となりますが、中途半端な数で不便なため入力電力値は1000(W)としています。
■ 電力トランスデューサの積算用パルス出力について
電力量を計測するとき役立つ積算用パルス出力では、パルス定数およびパルス単位に対応する出力を用意しています。
パルス出力方式としては、オープンコレクタとパワーフォトMOSリレーが選択できます。
ただ、潮流系統で使用する場合には逆流時のパルスは出力されません。負荷側での消費電力に比例したパルスだけが出力されます。
- パルス単位については、電力トランスデューサのパルス(単位:Wh/pulse)でご指定ください。
- 計算の方法については、各パルス出力付電力トランスデューサ(形式:LTWTなど)のご注文時指定事項をご参照ください。
パルス定数
電力トランスデューサがVT・CTの二次側で定格電力(電力トランスデューサ入力)を計量したときに出力するパルス数で、単位はpulse/kWhで表されます。このパルスを用いてVT・CTの一次側電力量を知りたい場合は、合成変成比とパルス定数とを掛算する必要があります。たとえば、10000pulse/kWhの出力でVT比が440/110V、CT比が300/5Aの場合には合成変成比が240となりますからVT・CTの一次側で240kWh使用すると10000パルスの出力となります。
パルス単位
1パルスがVT・CTの一次側で何kWhに相当しているかを示し、単位はkWh/pulseで表されます。 たとえば、10kWh/pulseとは1パルスによってVT・CTの一次側で10kWhの電力が使用されたことを表します。
ここに示してあるものはすべて2008年12月現在のものになります。