連載連載第4回 PAで何ができる?~計装が支えるプラントの安定運転~

今回はPAの分野で計装がどのような役割で活躍しているのかをご紹介します。

PAについて

「PA」とはProcess Automation(プロセスオートメーション)の略称で、液体や気体、粉体などの「流体」を取扱うプラントなど製造工程において、温度や圧力、流量、レベル(液位)などの状態量を自動的に計測・制御することです。
PAと類似した概念としてFA(Factory Automation・ファクトリオートメーション)があります。FAは工場における生産工程の自動化を図ることです。PAはプロセス製造における自動化のことを指します。定義上はどちらも自動化を図ることで共通していますが、性質が異なります。FAは、組立て作業や製造を効率化するため、高速かつ高精度な製造体制を推進する一方で、PAは化学反応を取扱うため高速化には限度があります。反応を無理に進めると品質が低下することから、機器を用いて物体の状態を測定し適切に制御することが必要です。このようにPAは、物体の状態を確認しながら製造を制御する機能が求められます。また、FAは問題発生時にすぐ機器を止められますが、PAは化学・物理的な反応を扱うため、一度稼働すると簡単に止められない難しさがあります。

図:紙・パルプ工場のPA導入イメージ 図:紙・パルプ工場のPA導入イメージ

PAの主な目的は、プラントの自動制御システムによる24時間稼働、作業員の安全確保、省力化による人材不足の解消やヒューマンエラーの最小化などが挙げられます。
PAを導入するとプロセス業務を自動化できるため、業務に必要な人員が削減できます。人材不足が深刻化している製造業において、省力化は大きなメリットになります。また、自動化が進めば人間が携わる業務が少なくなるため、ヒューマンエラーのリスクを最小限に抑えられます。ミスが減少するため品質の向上や業務効率化につながります。さらに自動化が進めば、少人数で工場を動かせるため、24時間稼働が可能となり、生産力の大幅な向上が期待できます。プロセス産業には、危険が伴う作業が多くあります。しかし、これらの作業をPAで代替できれば従業員を危険にさらす必要がなくなり、労働災害のリスク低減や労働環境の改善に役立ちます。

PAの代表的な現場について

PAは大規模なプラントや装置産業を中心に、幅広い分野で活用されています。たとえば石油・化学工業では原油精製における化学反応の温度・圧力管理、食品製造業ではビールの発酵工程や調合などの現場で活用されています。また、鉄鋼・鋳物製造業では高炉の温度管理や溶融金属の成分調整、紙・パルプ業界では薬品による溶解、紙の厚みや水分の均一化、水処理・浄水場の水質管理、電力業界では発電所の蒸気タービンの制御など幅広い分野で活用されています。

図:PAの導入現場(アルコール飲料工場の麦汁発酵タンク)図:PAの導入現場
(アルコール飲料工場の麦汁発酵タンク)

PAの最新動向について

PAが活躍しているプロセス産業では、これまでに安全性を高めるためにさまざまなデジタル技術が活用されてきました。近年では、さらなるデジタル技術の進化によって、従来の「制御」から「予測・最適化」へとシフトしてきています。

PAの最新事例

  • 産業用IoT
    クラウドにデータを集約して、拠点を超えた生産管理を行います。
  • AI・機械学習
    熟練オペレータの経験を学習して、複雑な化学反応を自動最適化します。
  • デジタルツイン
    仮想空間にプラントを再現して、シミュレーションを行います。
  • 通信のオープン化
    マルチベンダ対応によるオープンな計装をめざしています。

計装の役割

「計装」とは、生産工程などを制御するために、計測装置や制御装置を装備し、測定・制御・管理することです。PAにおいて計装は「プラントの五感と頭脳」の役割を果たしています。センサで状態を測り(五感)、コントローラが判断し(頭脳)、バルブを動かすことによって人間が操作しなくても一定の品質を保ち続けます。

PAで活躍する主な制御機器

  • DCS(Distributed Control System、分散制御システム)
    プラント全体の制御を複数のコントローラに分散し、監視・制御するシステム。
    大規模プラントに必須で、高い信頼性が特長です。
  • PLC(Programmable Logic Controller、プログラマブルロジックコントローラ)
    シーケンス制御が得意な機器。単体装置の制御やFA寄りの工程で多用されます。
  • SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition、監視制御システム)
    現場のデータを集約して、PC画面上で監視・記録(見える化)を行う上位システムです。

PAの現場で活躍! 当社の信号変換器

PA用の信号変換器は、信号変換と信号の絶縁という重要な役割を担っています。信号変換は、センサからの微弱な電気信号(熱電対のmVなど)を計装の標準信号(4〜20mA DCなど)に変えます。また、信号の絶縁は、現場と制御室の電気回路を切り離して雷サージやノイズによる波及事故を防ぎます。
当社のラック収納形変換器「10・RACKシリーズ」は、PAの多くの現場に採用されています。10・RACKシリーズは新設設備にはもちろんのこと、既設設備のコンピュータ化にも大変便利な絶縁2出力のラック収納形変換器です。各社DCS用ネスト約40種と信号変換器約50機種からお客様に合った組合せを選ぶことができ、第1出力は変換器の端子から、第2出力はネストのコネクタから取出せます。電源は24V DCで、電源配線のいらない裏面共通給電方式です。また、個別に電源ヒューズを内蔵しているので、1台の故障によって共通電源をダウンさせることがないなどの特長があり、お客様から高い評価をいただいています。
各社のDCS用入出力カードとコネクタで直結できる「18・RACKシリーズ」も多くのお客様に採用されています。

ラック収納形変換器 10・RACKシリーズ(左)と18・RACKシリーズ(右)ラック収納形変換器
10・RACKシリーズ(左)と18・RACKシリーズ(右)
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