センサ
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エムエスツデー 2003年1月号
ロータリエンコーダ
回転方向の機械的変位量をデジタル量に変換する位置センサを総称して、「ロータリエンコーダ」といいます。本来、ロータリエンコーダは、回転角測定用の検出器として考案されたものですが、近年はロボットや情報機器の位置決めサーボ系に使用されるなど用途が広がり、その役割の重要性も大きくなっています。以下、ロータリエンコーダの種類や動作原理について簡単に解説します。
ロータリエンコーダの種類
ロータリエンコーダは、計測方法の違いによって以下の2種に分類できます。
• インクリメンタル方式:
測定開始点からの回転角度に対応して発生するパルスを積算する計数計測方式です。ロータリエンコーダは、一般に入力軸の角変位に応じて1/4周期の位相差をもつ2相のパルス列を出力します。この2相パルス列の位相関係は回転方向に対応して反転する(図1参照)ようになっています。この条件を利用し、受信側では、位相弁別回路とアップダウンカウンタによって位置情報に変換します。

• アブソリュート方式:
原点に対して1回転、または多回転の絶対角度位置を計測する方式です。電源投入後、リセット動作などを行わなくても絶対位置を読みとれるという特徴があります。ロータリエンコーダは、入力軸の角度位置に対応したコード信号を出力します。受信側では、コードを読みとることによって、絶対的な角度位置を知ることができます。コードとしては、グレイコード 注)、2進コード、BCDコードなどが使われます。
ロータリエンコーダの動作原理
ロータリエンコーダが角度を検出する原理には、以下の諸方式があります。
• 光電方式:目盛りを形成したスリット円板に光を当て、回転の位置情報をスリットを通過した光パルスの信号としてとらえます(図2参照)。

• 磁気方式:磁気パターンを形成した回転ディスクまたはドラムによって、回転の位置情報を周期的な磁界の変化としてとらえます。
• その他:静電容量の変化をとらえる方式や、電気的導通をとらえる接点方式などがあります。
また、検出した角変位をパルス列として出力する際の信号形式としては、オン・オフのステータス信号、正弦波に類似したアナログ信号、および通信伝送規格(EIA RS422)に準拠したラインドライバ・パルスがあります。
現在最も一般的に使用されているのは光電方式によるロータリエンコーダ(インクリメンタル方式)であり、アブソリュート方式のロータリエンコーダでは、スリット円板のパターン形状に前述のグレイコード、2進コード、BCDコードなどを形成して、スリットの絶対位置を検出できるようにしています。
ロータリエンコーダ変換器

図3 ロータリエンコーダ位置変換器
(形式:JRQD)
エム・システム技研は、インクリメンタル方式ロータリエンコーダ用の信号変換器(形式:JRQD、図3参照)をご提供しています。この変換器は、2相パルスを受けて角度情報に変換し、角度位置に比例したアナログ信号(4~20mA DCなど)として出力します。
<参考文献>
• (社)日本電機工業会技術資料 JEM-TR163「ロータリエンコーダの用語と定義」
• (株)小野測器殿ホームページ http://www.onosokki.co.jp/
注) グレイコード:「交番2進コード」ともいい、表す値の順に並べたとき、相隣る2つの数が、ただ1つビットだけで異なるように表現した2進コード。たとえば、10進数の1、2、3、4を、それぞれ0001、0011、0010、0110と表す。
【(株)エム・システム技研 システム技術部】