CC-Link(シーシーリンク)

"CC-Link(Control & Communication Link)"は、三菱電機(株)が1996年から提唱している同社のPLC(MELSECシーケンサ)の下位に位置する、オープン・フィールドネットワークです。
CC-Linkは、国内では最も普及率の高いフィールドネットワークのひとつであり、これまでに約1,919万ノード超の出荷実績があります。CC-Linkの普及を目的としてCC-Link協会(CLPA)が設立されており、パートナーメーカとして会員申請することにより、技術情報の開示を受けCC-Link対応製品を開発できます。
現在、2,971社(そのうち約70%が海外メーカ)を超えるパートナーメーカ(当社を含む)が1,666種類以上の製品を発売しています(2016年3月末現在)。
CC-Linkは、グローバルスタンダードになっている唯一の日本発オープンネットワークとして、アジア、北米を中心にした世界的なFA市場に広く普及しており、真のグローバルスタンダードとして世界中に認知された規格であるといえます。
CC-Linkの概要
CC-Linkのネットワークの物理層はRS-485準拠であり、データフレームはHDLC*準拠です。
通信ネットワークにはマスタ局とスレーブ局が存在し、通常はPLCがマスタとなります。1台のマスタに対し、スレーブ局が最大64台接続できます。スレーブ局にはリモートデバイス局(ビットデータとワードデータの双方を扱う局)やリモートI/O局(ビットデータのみを扱う局)などの種類があります。マスタ局はネットワークに接続されるスレーブ局の種類やそのアドレス情報を貯え、ネットワーク全体を管理します。伝送制御は、マスタ局からスレーブ局への一斉放送と個別問合せにより行っています(図1)。

図1 ブロードキャストポーリング方式
表1 CC-Link Ver.1.10の主な仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
最大リンク点数 | リモート入出力:各2048点 リモートレジスタ:512ワード |
リンク点数/1局 | リモート入出力:各32点 リモートレジスタ:8ワード |
最大占有局数 | 4局(スレーブ局1台当り) |
サイクリック 伝送データサイズ |
24byte/1局 |
トランジェント 伝送データサイズ |
960byteマスタ→スレーブ150byte/packet スレーブ→マスタ→スレーブ34byte/packet |
総スレーブ局数 | 64局 |
通信速度とケーブル総延長 | 10Mbps:100m(光リピータ使用時:4.3km) 5Mbps:160m(光リピータ使用時:4.48km) 2.5Mbps:400m(光リピータ使用時:5.2km) 625kbps:900m(光リピータ使用時:6.7km) 156kbps:1200m(光リピータ使用時:7.6km) |
通信方式 | ブロードキャストポーリング |
CC-Linkの主な仕様を表1に示します。特徴として、下記を挙げることができます。
- 最高10Mbpsの高速伝送を実現
- ワードデータの伝送、メッセージ伝送が可能
接点信号のようなビットデータだけでなく温度データのようなアナログ信号をワードデータとして扱う機器との接続が可能です。
- 最長1200mの総延長距離を実現(伝送速度 156kbps)
- バス形ネットワークにより、システム構成が容易
- 耐ノイズ性能に優れ、信頼性が高い
* HDLC(High-level Data Link Control procedure)
伝送制御手順のひとつで、高度なデータ伝送を実現した制御手順。同期式で、フレーム単位でデータを伝送するのが特徴。受信側からの応答を待たずに連続してデータ伝送が可能なため伝送効率が高く、誤り制御が厳密になっているため信頼性が高い。JISX5104~X5160で規定。
CC-Link Ver.2.00のリリース
2003年1月には、仕様がバージョンアップされたCC-Link Ver.2.00がリリースされました。バージョンアップの狙いは、従来からのFA分野に加え、とくに半導体製造装置やPAの計測制御などでアナログ信号を主とした大容量のデータ通信が要求される分野にまで適用範囲を広げることにあります。
Ver.2.00
Ver.2.00は、Ver.1.10に比較して、送受信データ量を最大8倍まで拡張可能にしたものであり、ネットワーク上に接続できるデータ量が大幅に増強されました。
Ver.2.00とVer.1.10の基本仕様の比較を表2に示します。
表2 Ver.2.00とVer.1.10の基本仕様の比較
項目 | Ver.2.00の仕様 | Ver.1.10の仕様 | 備考(Ver.2.00/Ver.1.10) | |
---|---|---|---|---|
最大リンク点数(データ量) | RX, RY:各8192ビット RWw, RWr:各2048ワード |
RX, RY:各2048ビット RWw, RWr:各256ワード |
4倍 8倍 |
|
一台当たりのリンク点数 (データ量) |
1局占有時 | RX, RY:各32~128ビット RWw, RWr:各4~32ワード |
RX, RY:各32ビット RWw,, RWr:各4ワード |
4倍 8倍 |
4局占有時 | RX, RY:各128~896ビット RWw, RWr:各16~128ワード |
RX, RY:各128ビット RWw, RWr:各16ワード |
4倍 8倍 |
|
一台当たりの占有局数 | 1~4 | 1~4 | − | |
拡張サイクリック設定 | 1倍、2倍、4倍、8倍*1 | なし | ||
通信速度 | 10M/5M/2.5M/625k/156kbps | |||
接続台数 | 64台*2 |
*1. 拡張サイクリックの設定により送受信データ量を増やします。詳細はCLPAホームページ参照。
*2. Ver.1.10とVer.2.00では条件が異なります。詳細はCLPAホームページ参照。
Ver.1.10 とVer.2.00 の互換性
最近では、Ver.2.00対応の新製品も市場に多く出回ってきましたが、ネットワーク上でのVer.1.10とVer.2.00の互換性は次のようになります。
- マスタ局が新バージョン(Ver.2.00)対応品の場合:
スレーブ局としては、旧バージョン(Ver.1.10)対応品だけでも新・旧バージョン(Ver.2.00、Ver.1.10)対応品
混在でも接続可能(ただし、旧バージョン対応品は旧バージョンの仕様範囲内での使用に限られる)。 - マスタ局がVer.1.10の場合:
スレーブ局としては、Ver.2.00対応製品の接続は不可。
なお、当社では、リモートI/O製品(スレーブ局)R3シリーズにCC-Link Ver.2.00対応モデルを用意し、Ver.1.10対応モデルと並行して販売しています。
- CC-Linkの詳細については下記ホームページをご参照ください。
参考ホームページ:https://www.cc-link.org/