規格/標準

エムエスツデー 1995年2月号

計装豆知識

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CEというと、開発作業を効率化するコンカレント・エンジニアリングのことと思われるかもしれません。しかし、マーキングと付くと、それとは違います。これは簡単にいうと、EU(欧州連合)域内で特定の製品を販売する際、その製品の安全性を保証するマーキングを貼付させる制度なのです。CEという名称も、EUの前身ECのフランス語読みに由来しています。これまで各国ばらばらに制定してきた安全にかかわる規制を、EU内で統一しようという意図です。この制度は、最近話題のPL法とも、また広い意味でISO 9000とも関連しています。

特定の製品と言いましたが、これには産業機械、圧力容器、医療機器から玩具に至るまで、およそ人間の安全に関係しそうな製品はすべて含まれます。製品の安全性を保証するにはEC委員会が定めるEC指令に適合する必要があります。この指令は現在16種類制定されており、まだ増える見込みです。信号変換器は、電磁波を出す製品として、EMCに関するEC指令に適合する必要がある点、注意を要します。EMCとはElectromagnetic Compatibilityの略称で、「外部に有害な電磁波を出さず、また外部の電磁波によって影響を受けない」ことを意味します。

ISO 9000と異なりCEマーキングは強制的な制度ですから、これがない製品はEU域内で販売できません。強制化の時期は製品によって異なり、玩具類は1990年からすでに実施されています。EMCは1996年1月ですが、1995年半ばにヨーロッパに輸出する製品にはCEマーキングがないと、代理店で在庫中に期限が来てしまうかもしれません。

このように、CEマーキングはビジネスに重大な影響をもつ規制であるのに、なぜか最近まで日本の情報メディアの関心を呼びませんでした。CEマーキングの解説記事が、新聞や専門誌に載るようになったのは、つい数ヶ月前のことです。強制化の実施時期が過去に何回か延びた実績があるので、皆が「今度もまた延びるに違いない」と期待したのか、あるいはISO 9000フィーバーに気を取られていたためかもしれません。

昔と違い、今日のビジネスは国際的に関連しています。「うちはヨーロッパに輸出しないから」と放っておくと、ヨーロッパ以外の国から「CEマーキング付き」という注文が舞い込むかもしれません。

CEマーキングを取得するには、EUの認定機関で製品を審査してもらう方法とメーカーが自社で製品を調べ、規格に適合していることを「自己宣言」する方法があります(自己宣言が許されない製品もあります)。自己宣言は簡単そうですが、自社で大丈夫と思っても、EU市場内で競合メーカーに「あれは規格外製品ではないか」と行政当局に訴えられると強制的に検査され、その結果不合格となれば市場から追放されます。国によっては、そのうえ高額の罰金を課されるのです。EU域内の公的機関に製品を審査してもらうのは、日本の企業、ことに中小企業にとっては大変な負担です。見方によっては、EUの実質的な非関税障壁とも言えましょう。

エム・システム技研はこのような困難を乗り越え、オランダの公的機関からCEマーキングを取得すべく、現地代理店と協力して作業を急いでいます。そのうち、CEマーキングの施されたエム・システム技研製品が、国内市場にも登場することでしょう。

図 CEマーキング
図 CEマーキング


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